こんにちは、管理人のぬっきです。今回は私の現在行っているプロジェクト「東京デバイス工房」について話してみようかと思います。
東京デバイス工房は、はじめ私の所属しているFPSコミュニティ内のサーバーやその他インフラの資金補填を目的として企画されたものです。具体的にはPCゲームユーザーと親和性の高い製品やコンテンツを製作することになります。リリース予定のものとしては
・オーダーメイドゲーミングマウス
・自作キーボードPCBキット
・パラコード化キット
・マウス軽量化キット
・マウス用グリップテーム
といった感じです。
とりあえず今回はオーダーメイドゲーミングマウスについて少し書いていきます。
オーダーメイドゲーミングマウスとはなにか
一般的なゲーミングマウスは基本的に6つのパーツで構成されています。各社からさまざまなマウスがリリースされていますが、左右クリック、スクロールホイール、サイドボタン、基盤、シェル、ベース、というのが基本的な構成要素です。現在市場に出回っているマウスでは特にシェルの形状がユーザーにとってのマウスを選ぶ基準となっていると言えるでしょう。また、目に見えない部分でいえば、重量や重心位置、材質、センサーやスイッチなども人それぞれ好みは分かれる部分だと思います。
人それぞれのマウスの理想的な形状にはそれぞれの持ち方やマウスの振り方、感度、エイムの合わせ方といった特徴が反映されます。そこで、オーダーメイドゲーミングマウスは主にシェルの部分をユーザーに合わせてオーダーメイドで製作しようというものです。
しかし、オーダーメイドというのは大量生産品と比較して生産効率が圧倒的に悪く、相場が5000円~15,000円のゲーミングマウスという市場には合致していないように思えます。恐らくオーダーメイドと言っても20,000円台前半がユーザーに受け入れられる価格の限界ではないでしょうか。オーダーメイドゲーミングシェルマウスというのは技術的な課題だけでなく、販売方法や生産技術的な挑戦でもあるのです。
オーダーメイドゲーミングマウスの製造方法について
オーダーメイドゲーミングマウスについては既に様々な製造方法を考えています。実際に私の現在の仕事は商品の開発で、3Dで設計図を書くCADというソフトを使って色々な製品の設計をやっています。プロトタイピングでは、3Dで作ったモデルを3Dプリントしたり、cncというコンピュータ制御の切削機械を使ってプラスチックのブロックから削り出したりしています。3Dプリントというと、出来上がったものには積層痕というギザギザが出たり、詳しい人だと力のかかる方向によって極端に強度が低かったりと、最終製品としては使えないんじゃないかというイメージを持っている方もいると思いますが、PCで有名なHPのMultijet Fusionという3Dプリンタではそういった問題は解消され、最終製品としてある程度限定的ではありますが、十分な外観と強度をもったものを出力できます(値段も凄いですが)。切削機械は大きめのブロックから無駄な部分を削り取って最終形状を作るもので、削り取る工具の軌跡を描くcamソフトを使って機械の動きを制御します。3Dプリントよりも寸法の安定性が高いですが、強度や歪みを抑制するための特殊な処理が必要になります。それ以外にもシリコン型を利用した成形方法なども考えられます。現状これらを踏まえた製造方法は
1:粘土を使って実際に持ちやすい、動かしやすい形状を作っていく
2:完成した粘土のモデルを3Dスキャンする
3:3Dスキャンしたデータを設計ソフトで読み込める形にする
4:設計ソフトでスイッチや基盤、センサーの固定部分を追加する
5:完成した設計図を元に切削or3Dプリントする
6:パーツを組み立てて完成
になるかなと思います。
オーダーメイドゲーミングマウスが目指す日本の製造業の新しい姿
上に書いた通り、大量生産品というのは非常に生産効率が良いです。一度リリースが決まった製品は同じ生産ラインを機械的に稼働し続けるだけだからです。しかしそれは、世界的な規模の市場を目指して物凄い数を生産するという前提から成り立っていることです。そういった製造業というのがこれまでに正攻法、王道とされてきたものです。もちろん、そういった競争の中で安くて良い製品がたくさん作られてきました。ただ、それは同時に日本の製造業が今後生き残ることができない根拠でもあります。
日本で製造業をすると、とにかくコストの面で海外には勝てません。国内で製造するということは国内市場も視野に入れた製品を開発することになりますが、国内の消費者は非常に目が肥えていて、製品のちょっとしたバリや小キズ、外箱の状態にすら大騒ぎするといった具合です。そういった消費者を満足させるために生産から保管、流通までの管理コストが非常にかかります。さらに、人件費や電気代といった部分のコストも高く、発展途上国に工場を作るのも十分頷けます。さらに海外に工場をつくったことでその現地の技術力は飛躍的に向上し、外国製は安かろう悪かろうという時代も終わりつつあります。
海外からやってくる安価で国産と同等品質の製品に真正面から「もっと安くもっと良い製品をつくる」というのは結果的に人件費削減のための劣悪な労働条件や仕入先へのコスト圧縮へと繋がり、国内製造業はより衰退の一途をたどることになるでしょう。
そこで、現在は主にコンテンツ産業において発展しつつある「サブスク」という形態を製造業にも取り入れたいと考えています。「サブスク」というのは例えばyoutuberに対して毎月定額を支払うことで応援したり、その見返りとしてサブスクしているユーザー限定のコンテンツを返礼としてyoutuberから配信したりするというものです。毎月一定の収入があることで、クリエイターは安心してコンテンツ製作に取り組めるだけでなく、クリエイターが新しいことに挑戦するための保障と資金源にもなります。そういった関係性は製造業においても非常に有効でしょう。良い製品を作るメーカーを消費者がしっかり支援すれば、その製品が生産されなくなることを防ぎ、製品の保障やサービスの継続に繋がります。また、メーカーは応援してくれる消費者に対して今後も支援してもらえるように、より消費者に合った製品をつくることができるでしょう。こういった双方向の関係を構築することによって、国内の製造業者は一定の需要を囲い込んで海外からの製品に対抗せずに済むということです。